大判例

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東京地方裁判所 昭和51年(ワ)10613号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

「被告は、訴外有馬雄輔を代理人として原告と本件物件の売買契約(以下本件売買契約という)を締結し、原告は、本件物件につき訴外日本油設とリース契約を締結した。

原告と有馬雄輔は、本件売買契約締結に際し、右日本油設のリース料支払を担保するため、本件物件につき日本油設が前項掲記のリース期間中に倒産する等の理由により原告がリース料の支払をうけられなくなつた場合には、被告が原告から前記物件を買取る旨の停止条件付売買契約ないしは売買予約契約を締結した(以下本件買取契約という。)。」

右買取契約につき訴外有馬に代理権があつたかどうかが本件の争点である。

【判旨】

三本件買取契約の成立について

甲第七号証は被告の原告宛昭和四八年一二月一三日付「リース物件買取り契約書」であり、これには、被告は原告並びに日本油設との間の昭和四九年四月一日付、同年七月二〇日付リース契約に付帯して次のとおり当該リース物件の買取を行なう旨の外買取対象物件、買取をなすべき場合、買取金額、買取期間等につき原告主張のとおり記載され、被告の住所、商号、公害関連事業部のゴム判が押され、かつ被告の商号を刻した前記角印と有馬の私印が押されており、この押印部分は前記注文請書(甲第六号証)の被告名義部分のそれ(ただし、被告の住所、商号の記載を除く)と同一であることが認められる。

ところで本件リース物件のように汎用性を欠く物件を対象とするリース契約においてはその経済的機能は金融上の便宜を供与することが本質とされ、リース業者が融資金の確実な回収を図るため種々方策を講じるのが通例であり、<証拠>によれば本件においてリースを受ける日本油設の資力は右融資金回収を担保するに十分ではなく、前記峰は本件売買契約に関する交渉の当初より有馬に対し被告が日本油設の資力を担保する趣旨で本件買取契約が締結されることが必要である旨申し入れており、他方、被告の右担保能力については十分な調査を行つた上で本件売買契約締結に踏み切つたことそして原告代理人峰は昭和四八年一二月一三日被告代理人有馬との間で本件買取契約(なお、買取期間は本件物件のリース期間と同一とする旨)の合意をみ、同日同人に対し前記注文書と注文請書用紙を交付した際、同時に前記「リース物件買取り契約書」用紙を交付したところ、二、三日後、有馬から前記注文請書と共に前記のとおり、被告名義部分に押印の上、その交付を受けたこと、その際、日本油設との間で締結されるべき本件物件のリース契約の日付、期間等が未定であつたため、右書面中該当欄は空白のまま、後日原告において記入されることが予定されていたので、日本油設とのリース契約締結後峰がこれを書き加えたことが認められ<る。>。

以上認定の事実によると、原告代理人峰と被告代理人有馬との間で昭和四八年一二月一三日本件買取契約が成立したものというべきであるが、有馬が本件買取契約締結につき被告から代理権を授与されていたと認めるに足りる証拠はない。

しかしながら、有馬が本件買取契約締結につき被告から代理権を授与されていたことは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、峰は有馬が本件買取契約締結についても代理権があると信じていたことが認められ、かつ前認定のとおり本件売買契約と本件買取契約とは密接不可分な関係にあつたものでかつ峰は有馬から注文請書(甲第六号証)と同一形式で押印された買取契約書(甲第七号証)の交付を受けたのであるから、右有馬を被告代理人と信じるにつき正当な事由があつたと言うべきである。<中略>

してみれば、被告は有馬の右無権代理行為につき、民法一一〇条によりその責任を負うべきものである。

(佐藤安弘)

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